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【 籠釣瓶花街酔醒 (吉原百人切り) 】
野州佐野の絹職人次郎左衛門は、下男治六とともに吉原見物のとき、花魁兵庫屋八ッ橋の美しい道中姿に、魂を奪われる。以来、夢中になって吉原に通い詰め、ついに八ッ橋の身請け話にまで漕ぎつけた。しかし、八ッ橋の親判をしている遊び人釣鐘の権八が、引手茶屋の立花屋に金を無心して断られた腹いせに八ッ橋の情人繁山栄之丞をたきつけたので、責められた八ッ橋は切羽詰って満座の中で次郎左衛門に愛想尽かしをする。仲間の手前も面目を失った次郎左衛門は悲噴の涙をこらえて故郷へ帰る。家伝の「籠釣瓶」という村正の刀を持って再び江戸へ出、恨み深き八ッ橋に再会して一刀のもとに斬り、なおも大勢の人を相手に兇刀をふるう。 |